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  <8> KTRニュース

 

 

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第 1回 「LD50(エルディーゴジュウ)」について
第 2回 「ストレスクラック」について
第 3回 促進試験について
第 4回 N(ニュートン)について
第 5回 製品の安全性(有害物質について)
第 6回 分析について
第 7回 「品質工学」(タグチメソッド)について 1
第 8回 「品質工学」(タグチメソッド)について 2
第 9回 「品質工学」(タグチメソッド)について 3
第10回 VOC(揮発性有機溶剤)シックハウス症候群について
第11回 RoHS(ローズ)について
第12回 安全係数について
第13回 環境マネージメントシステムについて
第14回 アクリルについて
第15回 PBB(ピービービー),PBDE(ピービーディーイー)について
第16回 「可塑剤(かそざい)」について
第17回 「水と油はなぜ混ざらないのか」
第18回 化審法(かしんほう)について
第19回 湿度(しつど)について
第20回 「HACCP(ハサップ)」食品の安全性確保
第21回 「プラスチックの見分け方(赤外分析)」について
第22回 「REACH(リーチ)規制(新化学物質規制)」について
第23回 「積層造形(ラピッドプロトタイピング)」について
第24回 「ボールタック試験(粘着性の試験)」について
 第21回

★今回のテーマは、「プラスチックの見分け方(赤外分析)」です。

「プラスチックの見分け方(赤外分析)」

今回はプラスチックの見分け方について説明いたします。
プラスチックは身近な所にいろいろと使われいてます。
ただし、そのプラスチックがどんな種類のプラスチックかを気にすることはほとんど無いと思います。
商品開発をする時や、他社の製品に使われているプラスチックの種類を知りたい場合や、廃棄の分別する時にプラスチックの種類を知りたいと思うことがあります。

プラスチックの見分けかたで、最も一般的に使われる分析機器は赤外分析(IR インフラレッド)と言われるものです。
この分析器で分析しますと、何のプラスチックかが分かります。

赤外分析では、単にプラスチックの種類が分かるだけでなく、その中に入っている可塑剤の種類や、安定剤の種類、顔料の種類等も調べることができます。
また、プラスチック以外にも接着剤の成分分析、塗料の成分分析等もできます。

下の写真は一般的な赤外分析装置の写真です。
一番右側にあるのが、赤外線が透過できるサンプルの分析機で、
中央は赤外線を透過できないサンプルを測定する反射測定装置です。
左側はコンピューターで、分析機の測定の設定をしたり、チャートを書か
せたり、測定したチャートと標準試料のチャートを比べたたりするものです。

それでは、まずプラスチックの種類について説明します。

<プラスチックの種類>
プラスチックの種類にはどのような物があるのでしょうか。
プラスチックは大きく分けて、2つに分類されます。

1,熱可塑性プラスチック(熱可塑性樹脂)
<例>チョコレートのようなもの
これは一般的なプラスチックで、普通にプラスチックと言われるものです。
熱可塑性とは、熱を加える(温度を上げる)と溶けるものです。
ポリエチレン、ポリプロピレン(PP),塩ビ、ポリスチレン、ナイロン、ポリエステル(ペット等)、アクリルなどです。

2,熱硬化性プラスチック(熱硬化性樹脂)
<例>ビスケットや卵焼きのようなもの
これはあまりプラスチックとは意識されませんが、代表的な物は鍋のふたの上に付いている黒い持つところです。これはフェニール樹脂と言われます。
次に、デコラと言ってコタツの天板に使われている化粧板(メラミン樹脂)などがあります。
これは熱硬化性と言われるように、熱を加えて(温度を上げる)も溶け出しません。

なぜ、このようにプラスチックと言ってもいろいろと性質が違っているのでしょうか。


<プラスチックの性質の違い>
金属は非常になじみのある材料だと思います。金属の代表的な物は鉄です。
これ以外にも、アルミ、銅、亜鉛、チタン、金、銀、スズなどがあります。
同じ金属と言っても重さが違うし、硬さも違います。また値段も相当違います。
これと同じように、プラスチックもいろいろと種類があり、それぞれの性質も違います。
水に沈むものもあれば、浮く物もあります。透明な物もあれば不透明な物もあります。
また、軟らかい物もあれば、硬い物もあります。

<プラスチックの性質の違いは何か>
プラスチックは上に書きましたように、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP),塩ビ、ポリスチレン、ナイロン、ポリエステル(ペット等)、アクリルなどがあります。
これらは、プラスチックの材料が違うために名前が違い、性質(物性と言います)も違います。

今回は、熱可塑性のプラスチックにつきまして、もう少し詳しく説明します。

<プラスチックの分子構造>
プラスチックの性質の違いは、その分子構造が違うからです。
下記に、代表的なプラスチックの分子式を示します。



上記の様に、プラスチックの種類によって、分子式(原子の結合のしかた)が違います。

<赤外分析でなぜプラスチックの種類がわかるのか>
上記のプラスチックの分子構造で赤丸を付けたところを見ていただくと、特徴的な原子の結合が見られます。
プラスチックに赤外線を当てますと、各特徴的な構造により吸収される赤外線の波長が違います。
逆に、赤外分析のチャートを(吸収のされた様子を記録したもの)見て、その吸収パターンからどんな構造式かを推定して、プラスチックの種類を決めて行きます。
赤外線は英語で(Infra Red : インフラ レッド)と言います。
それで、赤外分析器の事とIR分析器と言います。
インフラとは、なになにの外と言う意味で、言葉どうり赤外線になります。
最近は赤外分析の中でも、フーリエ変換赤外分析が増えてきています。
これを、FT−IR(エフティーアイアール)と言っています。

<赤外線とはどんな光か>

各光の波長の関係
各光の波長の関係

赤外線とは言葉どうり可視光線(眼で見える光線)の赤色の外側の光線と言うことです。
もちろん、赤外線は眼では見えません。赤外線こたつの赤外線は眼には見えませんが照射しているかどうかが分かるために赤色の可視光線も一緒に出しています。
こたつの例のように、赤外線が当たると暖かく感じます。これは赤外線が分子の振動を盛んにするからです。
分子の振動が激しくなることを、温度が高かくなると言います。

<赤外分析のチャート>
下に、ポリエチレン(PE)の赤外チャートを載せています。
横軸は波長(赤外線の波の長さ)ではなく、1cm当たりの波の数(周波数)です。
単位はcm-1(カイザーと読みます)です。
1cm当たりに何個の波の数があるかを表したものです。
数字が大きいほどエネルギーが高くなります。
このチャートでは左端が4000cm-1(カイザー)でエネルギーが最も高く、右端は400cm-1(カイザー)で最もエネルギーが低い。
縦軸は透過率で、当てた光のうち何%通過したかを表しています。
下側に、谷のようにになっているところが赤外線を吸収した所です。
この谷の位置(横軸のカイザーの数字)で、そのプラスチックの原子の状態が分かります。

赤外分析チャート
赤外分析チャート

<分子の振動>
プラスチック製品はミクロ(非常に細かく見る)で観察すると、振動しています。
原子と原子の間が伸びたり縮んだりしています。また、原子と原子の結合している角度も大きくなったり、小さくなったり変化しています。

 

この伸縮や角度変化の振動数は決まっていて、この振動数に一致した赤外線の特定の波長のみを吸収します。
逆に、ある振動数(カイザー)の吸収があれば、それを吸収する伸縮や角度変化をしている物が中にあることがわかります。
伸縮のエネルギーレベルは高く、一方、角度変化のエネルギーレベルは低いので、伸縮による吸収ピークはチャートの左側(1500カイザー以上)に現われます。
一方角度変化はチャートの右側のエネルギーの低い所(1500カイザー以下)に現われます。

<赤外チャートの見方>
上のポリエチレン(PE)のチャートを見てもらいますと、3000カイザーの手前に大きな(谷)が2本あります。これは、ポリエチレンのC−H結合の伸縮による吸収ピークです。
このピークほとんどのプラスチックにはC−H結合がありますので、ほとんどのプラスチックの赤外チャートにこのピークが見られます。
次に、1500カイザーの手前のピークですが、これは、C−CとC−Hとの角度変化によるものです。
同じく、750カイザー付近の吸収も角度変化によるものです。
今回のチャートからは以上の3種類のピークしか出ていなかったので、ポリエチレン(PE)と確認できました。

<特徴的な分子構造の吸収ピーク>
伸縮運動の吸収ピーク(振動数:カイザー)
  C − H  結合
3000
カイザー
  C − C  結合
1000
カイザー
  C − Cl  結合
700
カイザー
結合原子の分子量が大きくなるほど、動きにくいので振動エネルギーは小さくなり、
吸収ピークの振動数(カイザー)は小さくなります。
       
  C − C  一重結合
1000
カイザー
  C = C  二重結合
1640
カイザー
  C 三 C  三重結合
2200
カイザー
一重結合より、二重結合の方が結合力が強いので、吸収ピークの振動数は
大きくなり、三重結合はさらに吸収ピークの振動数は大きくなる。
そのため、ピークはチャートのより左側に出る。

<まとめ>
以上説明いたしましたように、赤外分析器を使いますと。比較的簡単にプラスチックの種類が分かります。
赤外分析で分析できる物はプラスチック以外(固体)にも液体や気体も測定できます。
また、測定時間も短く(測定だけでは数分間)手軽なので、有機物(燃えるもの)の分析には一番多く使われます。
ただし、分析する物が純粋な物であればピークの数が少なくて分析が簡単ですが、プラスチックの中に、可塑剤とか安定剤とか顔料などが入っている場合はこれらのピークも出てくるので、解釈が難しくなってきます。
試料によりましては、測定する前に寸法を揃えたり、粉にしたりとか前処理がいります。
この前処理には経験と技術がいります。




 第22回

★ 第22回KTRニュースをお届けいたします。
今回はEU(ヨーロッパ連合)で昨年決まった新しい化学物質規制の「REACH(リーチ)規制」についてです。

「 REACH(リーチ)規制(新化学物質規制) 」

< REACH(リーチ)の正式名 >
正式名は以下のようなものです。

REACH( Registration 、 Evaluation and Authorization of Chemicals)

日本語に訳すと、
「化学物質の登録、評価、認可等に関する規制」です。
Registration(レジストレーション)   :登録
Evaluation(エバルエーション)   :評価
Authorization(オーソライゼーション)   :認可
  of   :の
Chemicals(ケミカルズ)   :化学物質
の頭文字を取ってREACH(リーチ)と呼ばれます。

< REACH(リーチ)はなぜ画期的なのか >
REACH(リーチ)は今までと違って、画期的な化学物質規制と言われています。
なぜかと言いますと、

1)予防規制です
  これは、今までと違って有毒性が証明されてから規制するのではなく怪しいものは事前に規制しようとするものです。
 
2)企業が無毒性を証明する
  今までは、有毒性の証明は国が行ってきましたが、REACH(リーチ)では、無毒性を企業が証明しないといけなくなります。
   
3)新規物質だけでなく、既存物質も対象にしている。
  EUでは1981年以前にある化学物質は既存化学物質と言われ毒性等のデーターが不十分でも使用が認められていた。約10万物質ある。
また、1981以降に市場に出す化学物質は新規化学物質と言われ、今回のREACH(リーチ)に相当するような規制があり、有害な物質は市場に出すのを制限されている。約2700物質ある。
以上の点で画期的と言わています。



< REACH(リーチ)の環境問題での位置づけ >
環境問題は大きく分類すると次の3つになります。

1) 資源保護
 
2) 化学物質規制
   
3) エネルギー問題

それぞれが大きな課題ですが、REACH(リーチ)はこの化学物質規制の切り札と言われています。

< REACH(リーチ)が出来た背景 >
なぜ、このように次々とEU(ヨーロッパ連合)で化学物質規制の法律ができるのでしょうか。

化学物質規制は「現場環境(工場)」から「製品規制」に変わろうとしています。

一番基本の考えかたは、IPP(アイピーピー)と言われるものです。
IPP(Integrated Product Policy)
「全ライフサイクル及び全環境側面」と言われています。
これは、次の3つの考えかたからできています。

1) LCT(Life Cycle Thinking:ライフサイクル思考)の促進製品の揺りかごから墓場までの間の環境負荷を削減する思考を促進する。
 
2) より環境にやさしい製品の販売促進のために市場を操作する消費者に判断材料を提供する。
環境税の導入、グリーン調達や、エコラベルなど の強要を含めあらゆる手段を駆使する。
特に、社会コストの内部コスト化を促す。
   
3) LCT(ライフサイクル思考)の促進のための情報ツールの提供
環境設計の促進、環境管理手段の導入。
サプライチェーンに沿った製品環境情報の提供の仕組み

この考え方に従ってEU(ヨーロッパ連合)ではいろんな化学物質関係の規制が作られて来ています。


< REACH(リーチ)規制と今までの規制との関係 >
化学物質規制の総仕上げがREACH(リーチ)です。
最終的には以下のすべてがREACH(リーチ)に集約されると言われています。

・ELV(End-of-Life Vehicle) 廃車指令
  鉛、水銀、カドミウム、6価クロム
   
・RoHS(Restrictio of the use of certain Hazardous Substances)
  電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する指令
鉛、水銀、カドミウム、6価クロム、PBB(ポリ臭化ビフェニール)、PBDE(ポリ臭化ジフェニールエーテル)の6物質
   
・Eup(Energy-using products) 
  エコデザイン要求  
定性的、定量的なエコデザイン要求事項
   
・GHS(Globally Harmonized System of Classsification and Labelling of Chemicals)
  世界的に統一されたルールに従って化学品を危険有害性(ハザード)ごとに分類し、その情報を一目で分かるようなラベルの表示や安全データーシートで提供するものです。

* < GHS(ジーエッチエス)の内容 >*
化学物質の有毒性、有害性(ハザード)の評価項目、レベルを世界的に統一しようと言うものです。
日本の場合は縦割り行政のため、危険物は消防法、高圧ガスは高圧ガス保安法と言うように、30以上の法律がありました。
これらを統一的に、国際基準とも整合性を取って、表記、図等も統一しようとするものです。
内容は、 化学物質の有毒性、有害性(ハザード)の評価項目、レベルを世界的に統一しようと言うものです。
日本の場合は縦割り行政のため、危険物は消防法、高圧ガスは高圧ガス保安法と言うように、30以上の法律がありました。
これらを統一的に、国際基準とも整合性を取って、表記、図等も統一しようとするものです。

   内容は、

1)物理化学的危険性(1)
  火薬類、可燃性/引火性ガス、可燃性/引火性エアゾール、支燃性/酸化性ガス、高圧ガス、引火性液体、可燃性固体、自己反応性物質
   
2)物理化学的危険性(2)
  自然発火性液体、自然発火性固体、自然発熱性固体、水反応可燃性化学品
酸化性液体、酸化性固体、有機過酸化物、金属腐食性物質
   
3)健康影響
  急性毒性、皮膚腐食性/皮膚刺激性、目にたいする重篤な損傷性/眼刺激性、呼吸器感作性または皮膚感作性、生殖細胞変異原生、発ガン性、生殖毒性、吸引性呼吸器有害性、特定標的臓器毒性(単回暴露)、特定標的臓器毒性(反復暴露)
   
4)水性環境有害性
   
これによって、MSDSの書き方が少し変わります。
また、これらの毒性のレベルによって絵表示(ピクト)を表示する義務がでます。

< REACH(リーチ)の基本理念 >
REACHの基本理念は、人の健康と環境を守るため、安全性が確認されないまま に多数の化学物質を市場に出すことを許した、従来の化学物質政策を改め、 EU(ヨーロッパ連合)の化学物質規制を新たに統合することです。

< REACH(リーチ)の内容 >
1) EU(ヨーロッパ連合)域内の事業者は、取り扱う化学物質の予備評価を含む基本情報を欧州化学品庁へ提出することが義務づけられる。
登録義務の対象物質は約3万物質と言われている。
 
2) 当局は登録された化学物質ごとに提案される試験実施計画を評価し、必要に応じて試験の実施を要求することが出来る。
   
3) 発がん性、変異原生、生殖毒性、難分解性、生体蓄積性などの毒性物質については、製造者は使用前に許可を必要とする。

< 今までの化学物質規制の問題点 >

1) 有害性がはっきりしない物については規制が無く、問題が起こってから規制したが、その規制が出来るのも非常に遅かった。
 
2) 有害性の証明に費用と時間がかかり、なかなか進まなかった。
   
  EUでは潜在的汚染化学物質、使用量の多い化学物質が
2000物質あるが、有害性の試験は10年で140物質しか終わっていない。

きわめて有害性の高い化学物質を特定し、特別な分類<非常に高い懸念のある物質>に設定する。
最終的に、残留性と生体蓄積性がともに高い物質は、たとえ有害であるという証拠がなくても、この分類に入る。
以下の物が非常に高い懸念物質である。
・CMR: 発ガン性、変異原性または生殖毒性
・POPs: 残留性有機汚染物質
・PBT: 難分解性、高蓄積性、毒性物質
・vPvB: 極めて難分解性、高蓄積性を有する物質

< 予防原則の考え方 >
予防原則は科学的にみて不確実な要因を押さえて、有害な影響をもたらさないようにするものです。

「内容」
1) 人への暴露を回避すること。
これは許容量を出すことではありません。
 
2) 証明義務を逆にすること。
今は政府や市民が有害性を証明しないといけない。
それを企業が有害で無いことを証明するようにさせる。
   
3) 有害物質から無害物質への代替案
 企業が有害物質をより安全な物質に置き換える。
   
4) 情報へのアクセス
製品の中に入っている化学物質の情報への一般の人の参加プロセス

予防原則とリスクアセスメントは対立的な考えかたです。
リスクアセスメントは、有害性が出ない最低基準値(閾値:いきち)とベネフット(利益)との関係を考えますが、予防原則の考え方は閾値(いきち)は無く、有害な物質は人に対する暴露をなくし環境に出さない考えかたです。

以上、REACH(リーチ)について概要を書いてみました。
REACH(リーチ)規制の適応のスケジュール、届出方法、日本の対応、各企業の対応等については、次回以降にまとめてみたいと思います。

 

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