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  <8> KTRニュース

 

 

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第 1回 「LD50(エルディーゴジュウ)」について
第 2回 「ストレスクラック」について
第 3回 促進試験について
第 4回 N(ニュートン)について
第 5回 製品の安全性(有害物質について)
第 6回 分析について
第 7回 「品質工学」(タグチメソッド)について 1
第 8回 「品質工学」(タグチメソッド)について 2
第 9回 「品質工学」(タグチメソッド)について 3
第10回 VOC(揮発性有機溶剤)シックハウス症候群について
第11回 RoHS(ローズ)について
第12回 安全係数について
第13回 環境マネージメントシステムについて
第14回 アクリルについて
第15回 PBB(ピービービー),PBDE(ピービーディーイー)について
第16回 「可塑剤(かそざい)」について
第17回 「水と油はなぜ混ざらないのか」
第18回 化審法(かしんほう)について
第19回 湿度(しつど)について
第20回 「HACCP(ハサップ)」食品の安全性確保
第21回 「プラスチックの見分け方(赤外分析)」について
第22回 「REACH(リーチ)規制(新化学物質規制)」について
第23回 「積層造形(ラピッドプロトタイピング)」について
第24回 「ボールタック試験(粘着性の試験)」について
 第23回

★今回のテーマは、「積層造形(ラピッドプロトタイピング)」です。

「ラピッドプロトライピングとは」

ラピッドプロトタイピングとは、3次元CADデータから直接に立体の試作を数分から数時間で製造する技術のことです。
方法は、まず3次元データを一定の大きさで輪切りにスライスして、データを保存します。
そして、スライスしたデータを基に、順次積み重ねることで実際の立体を作成します。
近年、ラピッドプロトタイピングは機器の精度が上がってきており、モデルを積層するピッチが0.2mmまで可能となっておりますので、複雑な形状であってもモデル化することが可能となりました。
ただ、ラピッドプロトタイピングといっても種類は複数あり、作成方法も様々です。
そこで、代表的なものを下記に記します。

<ラピッドプロトライピングの種類>

●光造形法
  液状の光硬化樹脂に紫外線などを照射して三次元の形状を作成する方法。
  メリット → ・精度が高い。
・強度が強い。
  デメリット→ ・後処理が困難。
     
●粉末焼結法
  セラミックや金属粉末等を敷き詰めて、高出力なレーザー光線で作成したい三次元の形状のみ熱で焼結する方法。
  メリット → ・粉末材料であれば、何でも使用が可能。
・材料の粉がサポートの役割を果たす為、サポートは必要がない。
  デメリット→ ・若干精度が粗い。
・材料の粉が飛び散る為、後処理が困難。
     
●シート積層法
  紙などを、レーザやカッター等で必要な形に切り抜いて、これを積み重ねることで三次元の形状を作成する方法。
  メリット → ・材料が紙なので入手がしやすい。
・材料をシート状にさえできれば、金属でも作成可能。
  デメリット→ ・不要部分の切り離しや後処理が困難。
     
●インクジェット法
  インクジェットプリンタと同じ方法で、ヘッドから微小な樹脂や接着剤などを噴射や堆積しながら三次元の形状を作成していく方法。
  メリット → ・高速に試作を作ることができる。
  デメリット→ ・若干強度が弱い。
     
●溶融樹脂押出法
  加熱して溶かした熱可塑性樹脂を、細いノズルの先から糸状に出し、その樹脂を積み重ねて、三次元の形状を作成する方法。
  メリット → ・ABSやPCなど材料の種類が多い。
・後処理が容易
  デメリット→ ・若干精度が粗い。

<ラピッドプロトライピングの種類>
民間の企業であれば、複数の装置を置いているので、用途に応じた試作の作成が可能です。
溶融樹脂押出法であれば、公共の試験機関でも装置を設備されていますので、3次元データを持って行けば、簡単に試作を作ることが出来ます。
溶融樹脂押出法にて試作したものを添付します。
今回使用した樹脂はポリカーボネイドですが、ABSでも可能です。

 

 
 
 

今回使用した樹脂プロトタイピング装置の造形領域は、355(W)×406(D)×406(H)でした。
また、費用の計算方法は、機器使用料+(固定費×造形時間)ですので、数千円から数万円
程度です。
今回のモデルぐらいの大きさであれば、1時間程度で仕上がります。
ある程度の大きさがあれば、曲線も綺麗に仕上がりますが、今回のピンのように細すぎると若干精度が欠けますので、ヤスリで手直ししないと勘合することが出来ませんでした。

<ラピッドプロトライピングを使用した感想>
モデルが大きすぎたり、中身を詰めてモデルを作成すると、造形時間が長くなってしまい、費用がかさむので、製品の強度を見る目的ではなく、形を見たいだけであれば、中身を中空にすると良いと思います。
造形領域に限界はありますが、領域以内であれば、同じものを複数作ることも可能ですし、基本としたモデルに対して、少しずつモデルの形状を変えたものを同時に作ることも可能なので、短期間に複数のモデルを検討でき、実用的だと感じました。
また、元々3次元データを基に作成しているので、手直しが容易で、直ぐに変更や修正ができ、判断を早めることが出来ると思います。

<まとめ>
試作をメインとした民間企業のホームページを見ると、ギアといった部品はもちろんのこと、モデル同士を組み合わせて、完成品を作っているところもあり、技術が進んでいるので、モデルと量産品との違いが無いほどです。
ラピッドプロトタイピングは、モデルに対して要求される内容を全て網羅できているといっても過言ではなく、商品開発には必要不可欠になるのではないかと思われます。




 第24回

★今回のテーマは、「ボールタック試験(粘着性の試験)」です。

「ボールタック試験(粘着性の試験)」

粘着剤(接着剤の1種で、いつまでも硬くならないでべたべたした物)の粘着性(物に引っ付こうとする性質)を測る方法としては、指で軽く触れてその時のべたつき感で見るのが一番簡単でわかりやすい方法です。
ガムテープやセロハンテープの糊が塗ってある面を手で触られた時の感触です。
この方法には良い点と悪い点があります。

<良い点>
  1. 誰でもできる
  2. 道具がいらない
  3. 感覚的にわかりやすい
  4. 簡単である

<悪い点>

  1. 客観性がない
  2. 他人に説明しにくい
  3. 個人差が出やすい
  4. 再現性が悪い
  5. 数値化できない(定量化できない)

なれてくると粘着性がかなりの程度わかります。
この手での感触は他の測定器で測定しても必ず行われます。

それでは、粘着性を数値で表す方法はどのようなものがあるのでしょうか。
  1. ボールタック試験(傾斜式)
  2. ローリングボールタック試験
  3. プローブタック試験
  4. ループタック試験

などがあります。

<1.ボールタック試験(傾斜式)について>
今回は 1.のボールタック試験(傾斜式)について説明させてもらいます。
これは、JIS Z0237「粘着テープ・粘着シート試験方法」に規定されている方法です。

上の写真のように斜面(通常は30度、エレベーターの角度と同じ)に粘着面を上にしてセットします。
100mmの助走区間をへて、100mmの粘着面に止まるボールの直径の大きさで、粘着性を評価します。

下図で再度説明しましと次のようになります。

ボールの種類は1インチ(25.4mm)の64分の4〜64分の64までの31種類あります。
ただし、5/64、7/64、9/64、15/64、17/64は除きます。
当然大きいボールほど勢いよくころがり落ちるので、粘着性が大きくないと止まりません。
粘着面に止まる一番大きなボールの番号(32分の2インチが2番で、32分の4インチが4番というふになっています)で表します。
少なくとも同じ粘着面で3回行います。
ボールを決めて転がして、粘着面で止まらない場合はそれより小さいボールに変えてもう一度転がします。これを繰り返して粘着面で止まるボールを見つけます。

試験の温度、湿度の標準状態は、23℃、50%です。ただし、粘着剤は温度が低くなると粘着剤が硬くなり粘着性が悪くなります。
そのため、温度を下げて試験を行うことがあります。ボールタック試験機を恒温恒湿機に入れて、その中で測定を行います。0℃以下で試験を行う時もあります。

<ボールタック試験の注意点>
ボールタック試験での注意事項としてはつぎのような事を知っている必要があります。
まったく同じ粘着剤(のりと考えてください)でも厚くぬると粘着性が大きくなります。
また、通常は温度が上がるほど粘着性があがります。これは温度によって粘着剤(のり塗と思ってください)が柔らかくなるためです。

それでは粘着性とはなにかについてもう少し詳しく説明させてもらいます。
<粘着性とはなにか>
ねばねばして、べたべたと引っ付く性質です。
納豆のねばねばや水あめやコールターやとりもちなどですす。
これらは水に比べて流れにくく、物によくくっついて、取るのが大変です。ただ、これらを糊の変わりに紙を引っ付けることはしません。なぜかと言うとこれらは紙にはよくつきますが、紙を貼りあわせた時、紙同士を引き剥がすと簡単に引き剥がせます。
粘着剤だけを単独で糊として使うことはほとんどなく、紙とか布(基材と言います)の上に粘着剤を塗って、それをテープやシールのかたちで使うのが普通です。

粘着性が高いと言うことはもう少し物理的にどのように説明されるのでしょうか。
<粘着性の物理的な意味>
ここでヤング率(難かしく言うと弾性率)と言うものが出てきます。ヤング率はそのものに力を加えたときどれだけ変形するか。(厳密にはどれだけ変形しにくいか)を表す数値です。
みなさんご存知のようにゴムひもは引っ張ると長くのびます。つぎに鉄線は強く引っ張ってもほとんど伸びません。これを表す数値がヤング率です。

代表的なヤング率を下に書きます。

鉄21000Kg/mm2
アルミ7000Kg/mm2
ポリエチレン76Kg/mm2
ゴム0.15Kg/mm2

粘着性があるものは、このヤング率が小さいものです。
0.1Kg/mm2(10の7乗dyn/cm2)以下のヤング率でないと粘着性はないと言われています。
では何故このようにヤング率が小さくないと粘着性はでないのでしょうか。

<粘着性のもとはなにか>
粘着性とは、粘着性を示す材料が相手の物に引っ付く性質ですが、引っ付くとはその粘着性を示す分子や原子が相手の分子や原子と十分に近づきお互いの分子や原子同士が引力で引き合う状態を言います。

引力は2つの物質の距離の2乗に反比例するので、2つの物質の距離が近くなると急に大きくなります。逆に言うと距離が近くなければほとんど働かない力です。
2つの物質が近づくためにはどちらかが液体みたいに柔らかくないと近づけないことになります。
これを少し難しく表すと粘着剤のヤング率が小さいことになります。

<粘着性を増やすタッキファイヤー(粘着付与剤)>
これは主にゴム系の粘着剤に使用される、粘着性を高めるために配合されるものです。
この物は液体か固体のものであって、この物自身は粘着性は無いがゴムに混ぜられ事によりゴムのヤング率を下げてゴムの粘着性を高めるものです。
代表的なものには下のようなものがあります。

ロジン系(松脂)
テンペル系
石油系

これらをゴムに混ぜると、ゴムの分子(鎖状に糸みたいに細長いもの)と分子の間に入りこんで分子が引っ張られたとき伸びやすくします。
そのことで、ゴムに粘着性を与えます。

<まとめ>
粘着性を考えて行くと引力までいきついてしまいます。非常に微小な分子や原子の引力によって粘着性が表れるというのは大きな驚きです。

 

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