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  <8> KTRニュース

 

 

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第 1回 「LD50(エルディーゴジュウ)」について
第 2回 「ストレスクラック」について
第 3回 促進試験について
第 4回 N(ニュートン)について
第 5回 製品の安全性(有害物質について)
第 6回 分析について
第 7回 「品質工学」(タグチメソッド)について 1
第 8回 「品質工学」(タグチメソッド)について 2
第 9回 「品質工学」(タグチメソッド)について 3
第10回 VOC(揮発性有機溶剤)シックハウス症候群について
第11回 RoHS(ローズ)について
第12回 安全係数について
第13回 環境マネージメントシステムについて
第14回 アクリルについて
第15回 PBB(ピービービー),PBDE(ピービーディーイー)について
第16回 「可塑剤(かそざい)」について
第17回 「水と油はなぜ混ざらないのか」
第18回 化審法(かしんほう)について
第19回 湿度(しつど)について
第20回 「HACCP(ハサップ)」食品の安全性確保
第21回 「プラスチックの見分け方(赤外分析)」について
第22回 「REACH(リーチ)規制(新化学物質規制)」について
第23回 「積層造形(ラピッドプロトタイピング)」について
第24回 「ボールタック試験(粘着性の試験)」について
 第3回

★第3回目は促進試験についてです。

促進試験
促進試験は、商品の在庫中および使用時の数年間における品質の劣化を、短時間で評価する試験のことです。

商品は作ってすぐに売れれば良いのですが、いろんな事情から数年間在庫する場合があります。商品を在庫する倉庫はほとんど空調されておりませんので、夏は非常に暑く、冬は逆に非常に寒いです。また、日中と夜間では気温がかなり違います。さらに、地域差があり、北海道と沖縄では気候がかなり違います。

このように、在庫中に商品はかなり過酷な温度変化にさらされます。商品を作った時は良品でも、経時変化(けいじへんか)により、
在庫中に不良になる事があります。

この、経時変化(時間の経過)による劣化を短時間で調べるのが、促進試験です。

商品の劣化の主な原因は、温度、湿度、光等です。特殊な例としては車の排気ガスなどがあります。

☆それでは、促進試験での重要な点はなんでしょうか。
 それは次の3点と言われています。

1.促進性(短時間で評価ができる)  ; 何年間の期間を数週間で評価する
2.再現性(いつも同じ結果がでる)  ; 試験の基本条件です
3.相関性(実際と同じ結果である)  ; 促進試験の結果と、在庫中及び使用状態での劣化と同じ結果がでる 
しかし、以上の3つの条件を満たす試験方法はなかなか難しいのが現状です。

☆その中で、一般的によく知られているものにアレニウス(Arrhennius)のモデルがあります。
 (アレニウスは人の名前で、最後に概略説明)

これは、温度に関する促進試験に適応されます。
内容は「10℃の温度上昇で劣化の速度が2倍になる」と言うものです。
   
これを実際の促進試験で考えてみます。
よく促進試験として行われるものとして、60℃で1週間商品を入れる試験があります。

この場合の促進性はどのぐらいあるでしょうか。
条件を簡単にするために、標準状態を20℃と仮定します。
60℃は標準の20℃の温度より40℃高いので、10℃ごとに2倍になりますので、促進性は

  2倍×2倍×2倍×2倍=16倍
になります。

そうすると、60℃、1週間は20℃、16週間(約4か月)に相当すると考えられます。したがいまして、3年間の在庫を考えると60℃で9週間の試験が必要になってきます。
(3年間の在庫確認が9週間の促進試験に短縮される)

☆それでは、なぜ10℃の温度上昇で、劣化の速度が2倍になるのでしょうか

<ここで、少し理論的な説明をします。>
物の劣化は基本的には化学反応と考えられます。
たとえば、メッキ製品のさびは金属と空気中の酸素が水を媒体して結合したものです。
また、ゴムなどの劣化も空気中の酸素による化学反応と考えられます。

それでは、化学反応の速さはなにによって決まるのでしょうか。

単純に考えて、化学反応は分子同士のぶつかりにより起こると考えられます。
そうすると、このぶつかりあいは温度が高くなるほどぶつかる分子の数が増えると考えられます。
(温度とは、分子の運動量大きさをあらわしています。)
したがって、温度が上がるほど反応は早くなると言えます。

この考えかたを式にあらわしたのが、アウレニウスの式です。

    K;反応速度    A;反応定数   e ;自然対数の底
    E;見かけの活性化エネルギ   R;ガス定数  T;絶対温度

式は非常に難しいですが、結論を言えば、温度(T)が10℃あがると化学反応(K)は2倍早くなると言うものです。
さらにもう10℃あがるともとの温度の時の4倍早くなると考えられます。

ここで、60℃で9週間も試験するのが長すぎるで、もう10℃上げて70℃で4週間半の試験のほうが良いのではないかと考えられると思います。
しかし、、あんまり温度を上げすぎると商品自身がその温度に耐えられなくなり変形その他の影響が出て、相関性が無くなる恐れがでてきます。

樹脂製品は耐熱温度が高くないので、通常は高くても60℃が上限になります。

以上、簡単に促進試験についてまとめさせてもらいました。
(説明を簡単にするために、少し略したところがあります。)

これはあくまで、温度に限った簡単な促進試験について説明したものです。
本来的には、実際の放置試験と促進試験を同時に行って、その相関性や促進性を確認する必要があります。

アレニウス(Arrhenius Savante August)
アレニウスはスエーデンの化学者で、1859年ウプサラで生まれ、1927年ストックホルムで亡くなった。幼いときから神童ぶりを発揮し、3歳の時から書物を読んだと言います。
 ウプサラ大学を卒業する。
 1889年、化学反応の速度が温度とともに上昇するメカニズムを明らかにする。
 1903年ノーベル賞を与えられる。



 第4回

★2回目のKTRニュースのテーマはN(ニュートン)です。

力の単位    N(ニュートン)
最近ニュートン(N)と言う言葉を聞いたり、読んだりすることが増えてきたのではないでしょうか。

このN(ニュートン)とは力の単位です。今までは、プラスチックフイルムの引張り強度はkgの単位が使われきました。
ところが、最近では、kgの代わりにN(ニュートン)の単位が使われている事が増えてきました。

1N=0.1kg(100g)

ほとんどの場合はこの内容で十分です(中学校で教えている内容)。もう1歩詳しく表しますと、

1N=0.102kg(102g)

となります(高校で教えている内容)。
以上の内容さえ知っていれば、N(ニュートン)の単位が使われている時のkgへの換算ができます。

それでは、なぜkgを使わずに、ややこしいN(ニュートン)を使うことになったんでしょうか。
これには、スペースシャトルに代表される宇宙時代が反映されています。
仮に、5kgの重さのある机があったとします。
地球上では5kgですが、スペースシャトルの中では重力がありませんので重さは0(ゼロ)になります。
また、月の上では重力が地球の1/6ですので、0.83kgになります。
と言うことは、重さは場所によって違うと言うことになります。しかし物固有の何かは変わらずあるはずです。これを質量と名づけます。
ここに、重量と質量の分離が始まります。

質量の単位はkgです。
それに対して、重量の単位も今までは質量の単位と同じkgでした(正確にはkgwと表示してました:wはweight)。
これは、質量(mass)に地球の重力が働いていることは当然だったので、このように表示されていたわけです。
しかし実際は反対で、まず重量があり、後から質量と言う抽象的な概念がでてきたわけです。
先ほどの机の重さが地球とスペースシャトルと月で重さが変わると言いましたが、変わらない物が質量です。
ニュートンの有名な運動法則がこの質量と重量(力)の関係を表しています。

W(重さ:力)=m(質量) × g(重力加速度)

今までは、このW(重さ:力)の単位にkg(kgw)を使ってきたわけです。

そこで、重量の単位(力の1種)と質量の単位を分けようと言うことになったわけです。

W 重さ(力)の単位 N(ニュートン)
m 質量の単位 kg

それでは、なぜ1N(ニュートン)=0.102kgなのでしょうか。
地球上では、重力が働いていて、その重力の強さ(加速度)は9.80665m/s2です。
この重力はどのようにして、大きさを測定するのでしょうか。
これは、落とす高さと、地面に落ちる時間との間には一定の関係があり、この関係式から重力加速度を求めます。

  h=1/2gt2  
  g=(2h/t2)  
     
    h ;落下高さ m
    t ;落下するまでの時間 s(秒)
    g ;重力加速度 m/s2

高さ(m)と、落下時間(秒)を測定すれば、重力加速度が求まります。
1mの高さから、物を落とすと0.45秒に地表にぶつかります。この事を正確に測定して、重力加速度が決まっています。

g=9.80665m/s2

これに対しまして、N(ニュートン)の定義は、次のようです。
1N(ニュートン)=質量1kgに1m/s^2の加速度を与えることが出来る力

したがって、1kgの質量の重さ(力)は1kg×9.80665Nとなります。

1kgw(力)=1kg×9.80665(m/s2)N
1N =1/9.80665kg
  =0.102kg

以上の計算で、1N=0.102kgと言う関係が求まりました。

時間の単位は秒で、長さの単位はメートルで、どちらも相互に無関係に決められたために、重力の加速度が9.80665m/s2のようにきれいな数字ではなく、端数が付く数値になったわけです。

物理的には、N(ニュートン)の方がわかりやすくて、扱いに便利ですが、今まで、力の単位にkgを使いなれた者にはなかなか馴染めない単位です。ですから、1N=0.1kgと割り切って考えるのが一番抵抗のない考え方だと思います。  

今回はN(ニュートン)と言う単位の話で、理屈ぽい話になりました。
時代は宇宙時代に入ってきたので新しい単位が必要になってきたのだと思います。

 

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