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第22回目

第22回「REACH(リーチ)」とはなにか 1

◆ 第22回KTRニュースをお届けいたします。
今回はEU(ヨーロッパ連合)で昨年決まった新しい化学物質規制の「REACH(リーチ)規制」についてです。

「 REACH(リーチ)規制(新化学物質規制)」

< REACH(リーチ)の正式名 >
正式名は以下のようなものです。

REACH( Registration 、 Evaluation and Authorization of Chemicals)

日本語に訳すと、
「化学物質の登録、評価、認可等に関する規制」です。
Registration(レジストレーション)   :登録
Evaluation(エバルエーション)   :評価
Authorization(オーソライゼーション)   :認可
  of   :の
Chemicals(ケミカルズ)   :化学物質
の頭文字を取ってREACH(リーチ)と呼ばれます。

< REACH(リーチ)はなぜ画期的なのか >
REACH(リーチ)は今までと違って、画期的な化学物質規制と言われています。
なぜかと言いますと、

1)予防規制です
  これは、今までと違って有毒性が証明されてから規制するのではなく怪しいものは事前に規制しようとするものです。
 
2)企業が無毒性を証明する
  今までは、有毒性の証明は国が行ってきましたが、REACH(リーチ)では、無毒性を企業が証明しないといけなくなります。
   
3)新規物質だけでなく、既存物質も対象にしている。
  EUでは1981年以前にある化学物質は既存化学物質と言われ毒性等のデーターが不十分でも使用が認められていた。約10万物質ある。
また、1981以降に市場に出す化学物質は新規化学物質と言われ、今回のREACH(リーチ)に相当するような規制があり、有害な物質は市場に出すのを制限されている。約2700物質ある。
以上の点で画期的と言わています。



< REACH(リーチ)の環境問題での位置づけ >
環境問題は大きく分類すると次の3つになります。

1) 資源保護
 
2) 化学物質規制
   
3) エネルギー問題

それぞれが大きな課題ですが、REACH(リーチ)はこの化学物質規制の切り札と言われています。

< REACH(リーチ)が出来た背景 >
なぜ、このように次々とEU(ヨーロッパ連合)で化学物質規制の法律ができるのでしょうか。

化学物質規制は「現場環境(工場)」から「製品規制」に変わろうとしています。

一番基本の考えかたは、IPP(アイピーピー)と言われるものです。
IPP(Integrated Product Policy)
「全ライフサイクル及び全環境側面」と言われています。
これは、次の3つの考えかたからできています。

1) LCT(Life Cycle Thinking:ライフサイクル思考)の促進製品の揺りかごから墓場までの間の環境負荷を削減する思考を促進する。
 
2) より環境にやさしい製品の販売促進のために市場を操作する消費者に判断材料を提供する。
環境税の導入、グリーン調達や、エコラベルなど の強要を含めあらゆる手段を駆使する。
特に、社会コストの内部コスト化を促す。
   
3) LCT(ライフサイクル思考)の促進のための情報ツールの提供
環境設計の促進、環境管理手段の導入。
サプライチェーンに沿った製品環境情報の提供の仕組み

この考え方に従ってEU(ヨーロッパ連合)ではいろんな化学物質関係の規制が作られて来ています。


< REACH(リーチ)規制と今までの規制との関係 >
化学物質規制の総仕上げがREACH(リーチ)です。
最終的には以下のすべてがREACH(リーチ)に集約されると言われています。

・ELV(End-of-Life Vehicle) 廃車指令
  鉛、水銀、カドミウム、6価クロム
   
・RoHS(Restrictio of the use of certain Hazardous Substances)
  電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する指令
鉛、水銀、カドミウム、6価クロム、PBB(ポリ臭化ビフェニール)、PBDE(ポリ臭化ジフェニールエーテル)の6物質
   
・Eup(Energy-using products) 
  エコデザイン要求  
定性的、定量的なエコデザイン要求事項
   
・GHS(Globally Harmonized System of Classsification and Labelling of Chemicals)
  世界的に統一されたルールに従って化学品を危険有害性(ハザード)ごとに分類し、その情報を一目で分かるようなラベルの表示や安全データーシートで提供するものです。

* < GHS(ジーエッチエス)の内容 > *
化学物質の有毒性、有害性(ハザード)の評価項目、レベルを世界的に統一しようと言うものです。
日本の場合は縦割り行政のため、危険物は消防法、高圧ガスは高圧ガス保安法と言うように、30以上の法律がありました。
これらを統一的に、国際基準とも整合性を取って、表記、図等も統一しようとするものです。
内容は、 化学物質の有毒性、有害性(ハザード)の評価項目、レベルを世界的に統一しようと言うものです。
日本の場合は縦割り行政のため、危険物は消防法、高圧ガスは高圧ガス保安法と言うように、30以上の法律がありました。
これらを統一的に、国際基準とも整合性を取って、表記、図等も統一しようとするものです。

   内容は、

1)物理化学的危険性(1)
  火薬類、可燃性/引火性ガス、可燃性/引火性エアゾール、支燃性/酸化性ガス、高圧ガス、引火性液体、可燃性固体、自己反応性物質
   
2)物理化学的危険性(2)
  自然発火性液体、自然発火性固体、自然発熱性固体、水反応可燃性化学品
酸化性液体、酸化性固体、有機過酸化物、金属腐食性物質
   
3)健康影響
  急性毒性、皮膚腐食性/皮膚刺激性、目にたいする重篤な損傷性/眼刺激性、呼吸器感作性または皮膚感作性、生殖細胞変異原生、発ガン性、生殖毒性、吸引性呼吸器有害性、特定標的臓器毒性(単回暴露)、特定標的臓器毒性(反復暴露)
   
4)水性環境有害性
   
これによって、MSDSの書き方が少し変わります。
また、これらの毒性のレベルによって絵表示(ピクト)を表示する義務がでます。

< REACH(リーチ)の基本理念 >
REACHの基本理念は、人の健康と環境を守るため、安全性が確認されないまま に多数の化学物質を市場に出すことを許した、従来の化学物質政策を改め、 EU(ヨーロッパ連合)の化学物質規制を新たに統合することです。

< REACH(リーチ)の内容 >
1) EU(ヨーロッパ連合)域内の事業者は、取り扱う化学物質の予備評価を含む基本情報を欧州化学品庁へ提出することが義務づけられる。
登録義務の対象物質は約3万物質と言われている。
 
2) 当局は登録された化学物質ごとに提案される試験実施計画を評価し、必要に応じて試験の実施を要求することが出来る。
   
3) 発がん性、変異原生、生殖毒性、難分解性、生体蓄積性などの毒性物質については、製造者は使用前に許可を必要とする。

< 今までの化学物質規制の問題点 >

1) 有害性がはっきりしない物については規制が無く、問題が起こってから規制したが、その規制が出来るのも非常に遅かった。
 
2) 有害性の証明に費用と時間がかかり、なかなか進まなかった。
   
  EUでは潜在的汚染化学物質、使用量の多い化学物質が
2000物質あるが、有害性の試験は10年で140物質しか終わっていない。

きわめて有害性の高い化学物質を特定し、特別な分類<非常に高い懸念のある物質>に設定する。
最終的に、残留性と生体蓄積性がともに高い物質は、たとえ有害であるという証拠がなくても、この分類に入る。
以下の物が非常に高い懸念物質である。
・CMR: 発ガン性、変異原性または生殖毒性
・POPs: 残留性有機汚染物質
・PBT: 難分解性、高蓄積性、毒性物質
・vPvB: 極めて難分解性、高蓄積性を有する物質

< 予防原則の考え方 >
予防原則は科学的にみて不確実な要因を押さえて、有害な影響をもたらさないようにするものです。

「内容」
1) 人への暴露を回避すること。
これは許容量を出すことではありません。
 
2) 証明義務を逆にすること。
今は政府や市民が有害性を証明しないといけない。
それを企業が有害で無いことを証明するようにさせる。
   
3) 有害物質から無害物質への代替案
 企業が有害物質をより安全な物質に置き換える。
   
4) 情報へのアクセス
製品の中に入っている化学物質の情報への一般の人の参加プロセス

予防原則とリスクアセスメントは対立的な考えかたです。
リスクアセスメントは、有害性が出ない最低基準値(閾値:いきち)とベネフット(利益)との関係を考えますが、予防原則の考え方は閾値(いきち)は無く、有害な物質は人に対する暴露をなくし環境に出さない考えかたです。

以上、REACH(リーチ)について概要を書いてみました。
REACH(リーチ)規制の適応のスケジュール、届出方法、日本の対応、各企業の対応等については、次回以降にまとめてみたいと思います。

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