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第12回目

第12回「安全係数」について

◆今回は、前回とは違い,物や建物の設計に使われる「安全係数」について簡単に説明させてもらいます。

安全係数


最近は日本をはじめ、世界中で地震が起こっているように思います。
その時、建物や橋などが崩壊する場面をテレビ等で見る時があります。
建物や橋がどのように設計されているのか気になりますね。
日本はもともと地震国なので、十分に安全性を考えて設計されているはずです。
そこで、物や建物を設計する時に、安全係数をどれぐらいしているのかを知りたいと思います。

それでは、安全係数とはどのようなものなのでしょうか。


<安全係数の定義>
今、直径が1mmφの鉄のワイヤーがあるとします。それを天井に固定して、下側に重りを吊り下げたとします。
はたして、何kgの重りを吊り下げることが出来るでしょうか。

1mmφなので、断面積が0.785m㎡になり、24kg×0.75=18.8Kgで切れます。
ワイヤーに吊るす最大荷重を5kgとすると、安全係数は次のようになります。

したがって、安全係数が大きいほど安全な設計と言うことができます。

それでは、色んなものの安全係数はどのようになっているのでしょうか

<いろいろなものの安全係数>

  安全係数
エレベーター 10.0
飛行機 1.5(最大加速度9Gとしている)
グライダー 1.5
気球 5.0
ヘリポート 2.5~4.5(構造により基準が変わる)
   
 1.5から10の間の安全係数を使用しています。

物や建物を設計する為には、安全係数が決まっているだけでは設計はできません。まず設計しようとする物にかかる最大荷重を決めないといけません。
これは、法律で決まっている場合もありますし、設計者が独自に決めないといけない場合があります。


<最大荷重>
例として、エレベーターの場合を考えてみます。
エレベーターには、定員人数が決まっています。また一人当たりの荷重は80Kgと法律で決まっています。
8人乗りだとすると、8人×80kg=640kgとなります。
安全係数が10なので、エレベーターを吊っているワイヤーが切れる荷重は6400kgと言うことになります。
(エレベーターは定期的に点検していますし、もし吊り下げのロープが切れても、側面のガイドレールを自動的に挟んで止まります。)

エレベーターの様に最大荷重が決まっている場合は簡単なのですが、通常最大荷重が決まってない場合が普通です。

飛行機の場合は定員が決まっているので、飛行機にのっている荷重は乗員と器材と燃料と飛行機自身の重量の合計になります。
しかし、離陸の時の加速や着陸時の衝撃、また乱気流による揺れ等色んな荷重が加わります。
また、飛行機の機体の場所ごとに加わる荷重は違ってきます。どこにどれだけの荷重がかかるのかは難しい問題です。
これは、各メーカーのノウハウの部分です。コンピューターによるシミュレーションや模型を使っての計測などにより決めます。

さらに、荷重も1度だけかかるのではなく、何回も加わり、その強さと方向も変わってきます。


安全係数が大きいほうが安全と言いましたが、あまり大きくすると材料寸法が大きくなり、全体が重くなります。飛行機などは、重くなりかえって安全性が下がります。
また、材料寸法が大きくなるとコストもかかります。
それで、経済性とか全体の調和を考えて、安全係数を決める必要があります。

それでは、物や建物を設計する手順を説明いたします。


<設計の手順>
安全係数の定義の所で使用しました、重り(荷重)を天井から吊り下げる場合の設計を考えます。
(まず、最大荷重を考え、安全係数を考えて、ワイヤーの材料、太さを決めること)

吊り下げる最大荷重を50Kgとします。
この場合は重い物をつり下げるので、万一ワイヤーが切れると危険なので、安全係数としては6倍ぐらい必要ではないかと思います。

そうすると、50Kg×6倍=300Kgに耐えるワイヤーが必要になります。

  (引張り強度)    
24kg/m㎡
   
アクリル
6.5Kg/m㎡
   
ジュラコン
6.8Kg/m㎡
   
ABS樹脂
4.0Kg/m㎡
   


     
したがって、   (断面積) (直径)
 
12.5m㎡
4.0mmφ
  アクリル
46.2m㎡
7.7mmφ
  ジュラコン
44.1m㎡
7.5mmφ
  ABS樹脂
75.0m㎡
9.8mmφ

となります。

(ただし、樹脂の場合はクリープや、材料のばらつき、温度の影響等があり、今回の安全係数6以上を使用する必要があると思います。)

非常に簡単な例を説明させてもらいました。

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