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第44回目

第44回「ゴム」について

(1)<ゴムとはなにか>
ゴムの特徴は、引っ張ると良く伸びて、手を離すともとの形に戻る性質を持っていることです。
代表的なものとしてゴムボールがあります。
ゴムボールを壁に投げつけると、勢いよく跳ねかえってきます。
現在ゴムの消費量としては自動車のタイヤが1位です。
自動車がこれだけ多くなったのは、ゴムタイヤの発明があったからです。
昔の馬車の車輪は、木の枠に鉄の板を外側に貼っていました。これでは乗り心地は悪いし、音も大きく、寿命も短かった。
ゴムタイヤのおかげで、乗り心地がよくなり、スピードが出せて、寿命も延びました。

 

(2)<ゴムが伸びて、元に戻るのはなぜでしょうか>
ゴムの性質は、どよようなゴムの構造からきているのでしょうか。
まず、ゴムが高分子である必要があります。(高分子とは分子量が大きいと言うことです。)
しかも、線状の高分子でなくてはなりません。線状とは糸状と言うことです。
糸状といいましたが、これは真っすぐに伸びた糸状ではなく、まるまった状態になっています。
この丸まった糸状のゴム(高分子)を引っ張ると伸びてひも状になります。
引っ張るのをやめると、もとの丸まった状態になります。

1本の糸状のゴムの分子が引っ張られて伸びます。引っ張るのを止めると元のまるまった状態に戻ります。

 

(3)<ゴムが丸まる理由はブラウン運動です>
ゴムは液体と言われることがあります。
ゴムは見た目は固体ですが、ミクロに見ますと、ゴムの分子がブラウン運動をしています。
ブラウン運動とは、液体がその置かれた温度に比例して、細かく動いていることを言います。
水の上に花粉みたいな軽い物を浮かべますと、花粉はランダム動きます。
これは、水の分子が絶えず振動していて、この水の分子がランダムに花粉に当たるためです。
液体はすべてブラウン運動をしています。
ゴムも完全なブラウン運動をしている訳ではありませんが、ミクロブラウン運動をして、絶えず丸まった状態になろうとしています。
このため、ゴムを伸ばしても元の丸まった状態になろうとします。
これが、ゴムが伸びても元に戻ろうとする力です。

 

(4)<ガラス転移温度>
ゴムのガラス転移温度(ガラス状からゴム状になる温度)は必ず、室温よりかなり低い(-50℃以下)ものです。
ガラス転移温度以下では、ゴムが固まって、ミクロブラン運動が出来ないためゴム弾性がなくなります。
テレビで、ゴムボールを液体窒素のなかに漬けて、取り出して落とすとガラスみたいにバラバラに割れるのを見たことがあると思います。
液体窒素は-196℃ですので、ゴムのガラス転移温度より低いので、ゴムがガラス状になったためです。

ガラス転移温度
                                (Tg:℃)

プラスチック ポリエチレン -125
PP -20
ポリスチレン 100
塩化ビニル 82
ゴム 天然ゴム -56
SBR -54
ブチルゴム -70
クロロプレンゴム -70
シリコンゴム -120

ヤング率:変形しやすさの程度を表す。ヤング率が大きいほど変形しにくい。
    ゴムはきわめてヤング率が小さい。
    ゴムのヤング率は鉄に比べて、1/1000から1/10000である。

 

(5)<天然ゴムが出来るまで>
天然ゴムができる過程を説明いたします。
まず、ゴムの木に傷を付けてゴム成分を含んでいる液を集めます。
これを乾燥させてシート状にします。
このシートは硬くて、色々な物(添加剤等)を混ぜることができませんので、素練りと言ってローラーとローラーの間に何回も通して、軟らかくします。これを可塑化ゴムと言います。
この可塑化ゴムに色んな薬品や添加剤をいれます。

<添加剤の種類>
(1)軟化剤、充填剤
(2)加硫剤、加硫促進財、加硫促進助剤
(3)酸化防止剤、オゾン劣化防止剤

これらの物を入れて、混ぜ合わせします。これを配合ゴムと言います。
配合ゴムを型に入れて、熱を加えて加硫を行います。これを加硫ゴムと言います。
ゴムには大量の添加剤が入っています。ゴムと同量、もしくはそれ以上入っています。

 

(6)<加硫(加硫)>
次に、ゴムで非常に大事な工程である加硫(かりゅう)について説明いたします。
加硫(かりゅう)とは架橋(かきょう)の1種です。
1本ごとのゴムの高分子を、お互いに化学結合をさせます。これが架橋(かきょう) と言います。ゴムの場合はこれをイオウで行うことが多いので、特別に加硫(かりゅう) と言います。
架橋をしますと、ゴム分子はお互いに結合した状態になりますので、引張強度 は非常に増しますし、塑性(そせい)変形をしなくなります。
加硫(かりゅう)の操作は、はゴムにイオウ化合物を加えて、高温にして行います。

 

(7)<多くのゴムが黒い理由>
自動車のタイヤは黒色です。なぜ黒色なのでしょうか。車の色は白とか赤とか色とりどりなのに、タイヤの色が黒色だとすこしやぼったくみえます。
モットカラフルなタイヤがあってもいいように思います。
自動車のタイヤは非常に過酷な使われかたをされます。
まず、乗用車を考えると1トン以上の荷重を4本のタイヤでささえなければなりません。
それと、走行中は地面のでこぼこでさらなる荷重がかかります。そして、カーブを曲がる時には、横方向の荷重もかかります。
それと、温度もマイナス20℃から上は60℃以上になる場合もあります。
このような過酷な条件の中で、ゴムの性能を出すために、タイヤには大量のカーボン(炭)が入っています。
ゴムにカーボンを混ぜることで、ゴムの性能が上がることが発見されました。
ゴムの分子とカーボンが結合することで、強度があがるのです。
そのため、タイヤには大量のカーボンが入っていて、そのためタイヤは黒くなってしまいます。
今のところカーボンに変わるものが発見されてませんので、当分タイヤは黒色です。

 

(8)<黒くないゴム>
日ごろよく使う輪ゴムは黒くありません。薄い茶色をしています。
なぜ、輪ゴムは黒くないのでしょうか。
天然ゴムは、ご存じのようにゴムの木に傷を付けて、流れだしてくる乳白色の樹液を集めて作られます。
この時は乳白色です。このあと固形のゴムにする加工で、薄茶色になります。
この色が輪ゴムの色になっています。
輪ゴムの場合は、タイヤほど性能が要求されなおので、カーボンを入れないでつくられます。
そのため、輪ゴムは黒くないのです。

 

(9)<天然ゴムと合成ゴム>
ゴムは大きく分けて、天然ゴムと合成ゴムがあります。
天然ゴムは文字どうり、ゴムの木から出来るものです。今でも重要な役割をはたしています。
もう1つは、合成ゴムです。合成ゴムは英国が天然ゴムを独占していたので、ドイツやアメリカ、日本などがなんとか英国に頼らずにゴムを作ろうとして作ったものです。
現在では、天然ゴムより生産が多くなっています。
それと、天然ゴムの欠点(耐油性、高温特性等)を改良した合成ゴムが作られています。
溶剤に強いゴムや、熱に強いゴムなどが生産されています。

 

(10)<ゴムとエラストマー>
エラストマーは(Thermoplastic Elastomers:TPE)、常温ではゴムの性質をしているが、温度を上げると普通のプラスチックのように溶けて射出成型が出来る高分子です。
エラストマーは加硫しないで、ゴムの性質を持ったものをつくるので、成型が簡単で、作業性がよいのです。
また、熱をかけて溶かしてしまって、また樹脂として再利用ができます。
エラストマーにも色んな種類の物があります。
スチレン系、オレフイン系、塩ビ系、ウレタン系、エステル系、アミド系、フッ素系などがあります。

 

(11)<ゴムの劣化>
ゴムの欠点として、ゴムの劣化があると思います。特に、ゴムの構造の中に二重結合(二重結合:=の記号)があると、光やオゾンで劣化しやすいと言われています。
二重結合にオゾンが結合して、順次反応して行き、最後には二重結合が完全に切れてしまいます。
そうすると、ゴムの分子の鎖が切れるので、分子量が小さくなります。
分子量が小さくなると、ゴムの強度が下がってきます。
それを防ぐために、ゴムには老化防止剤が必ず入っています。
輪ゴムは単価が安いので、老化防止剤が入ってないか、入っていてもわずかな量なので、すぐに劣化して、切れやすくなります。

 

(12)<まとめ>
ゴムは大変重要な働きを持った物です。ゴムがなけれは、自動車は走ることができません。
飛行機も離着陸の時にはタイヤが必要なので、ゴムが無ければ飛ぶことができません。
また、ゴムのパッキンがなくなるので、水道水も使うことができません。
日ごろなにげなく使っていますが、ゴムの働きは素晴らしいものがあります。
ただ、ゴムの欠点として老化しやすいことがあげられます。また、ゴムと他の物質と接触しますと、その接触した物を汚染(変色)させる場合があります。
また、ゴムは架橋(加硫)していますので、プラスチックのように熱を加えて再利用ができません。
ゴムの欠点はありますが、それ以上に私たちの生活に貢献しています。

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