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第26回目

第26回「硬さ」について

★今回のテーマは、[硬さ]とはなにか です。

「硬さ」

<1.硬さの定義>
「硬さ」とは常識では誰でも知っているのに、学問的にはよく分かっていない。
一般に言われている硬いとか軟らかとかいということは、両者を比較してどちらが硬いか判断しているだけで、絶対的な硬さを言っているのではない。
硬さは、材料のいろんな物理的な性質を表している。主に引っ張り、圧縮、曲げ、せん断、ねじり、衝撃、疲れ、クリープ、摩耗などです。

一般的な硬さの定義は次のようになっている。
「ある物体の硬さとは、それが他の物体によって変形を与えられようとするときに表す抵抗の程度である。」

<2.硬さ測定の長所>
硬さ試験は厳密には破壊試験の一つでありながら、圧痕(あっこん:へこみ)が小さいので測定物をほとんど破壊しない非破壊試験的であるところに価値がある。
硬さを測定することにより、その物の引っ張り強さなどを推定できる。
同一材料を引っ張たときの引っ張り強さと、硬さを測定し、どれぐらいの引っ張り強さのとき、硬さはどれぐらいかということから、硬さから引っ張り強さを換算する。

<3.鉄(鋼)の硬さ測定と破壊強さとの関係>
圧子(あっし:押し込むもの)を押し込んでいる平均圧力はその材料の降伏応力の約3倍であることが分かっています。
鉄のビッカース硬さ(後で説明します)が120HVとしますと、その鉄の破壊強さ(降伏応力)は

      120HV ÷ 3 = 40kg/m㎡

となります。
したがって、硬度を測ることで、鋼の強さとか、種類とか、焼き入れの有無や焼き入れの深さがわかります。

<4.硬さ測定の分類>
硬さ測定方法にはいろんな種類があります。それぞれの目的に応じて独自の試験方法が考えられました。基本的な測定方法は次の4つに分類されます。
金属や合金、岩石、竹、コンクリート、プラスチックなど固体と見られるすべての材料に共通の試験を行って、それらの硬さを一律に比較することはできません。

代表的な硬さ試験方法は次の4つに分類でされます。

(1)押し込み方法
 
  1. 一定の圧力で押し込んだときのくぼみによる方法
  2. 一定のくぼみを生ずるのに要する圧力による方法
  3. 一定のくぼみを生ずるのに要する仕事量による方法
(2)衝撃的に押し込む方法
 
  1. 一定の衝撃エネルギーを与えたときのはね上がり高さによる方法
  2. 一定の衝撃エネルギーを与えたときの吸収する仕事量よる方法
(3)標準物体でひっ掻く方法
 
  1. 一定の引っ掻きの幅を生ずるに要する荷重による方法
  2. 一定の圧力でもって引っ掻かいて生じた引っかき幅による方法
(4)その他
 

電気的硬さ測定、磁気的硬さ測定、超音波硬さ測定、放射線硬さ測定

<5.代表的な硬さ測定器>

JISなどに載っている代表的な硬さ試験の説明をします
(1)ブニネル硬さ試験(JIS B 7724)
 

単位は HB(エッチビー)
1900年、スウェーデンのブニネルにより考案された。
鋼球を用い、試験面に鋼球のくぼみをつけた時の荷重を永久くぼみの直径から求めた表面積で割った値を言う
試料の厚みはくぼみ深さの8倍以上が必要である

 
(2)ビッカース硬さ試験(JIS B 7725  Z 2244)
 

単位は HV(エッチブイ)
1922年にスミスが考える
均質な材料に対しては加えられる荷重の大小に関係なく一定の硬さの値が求められる。
耐面角が136度のダイヤモンド正四角すい圧子(あっし)を用いる。試験面にくぼみを付けた時の試験荷重と、くぼみの対角線の長さから求めた表面積から求められる。

   Hv = 0.1891 × F(荷重) ÷ d^2(対角線の長さ)


 ビッカース硬度測定の
 圧痕(あっこん)
 写真
 このひし形の面積を計算する

 
(3)ロックウエル硬さ試験(JIS B 7726  Z 2245)
 

単位は HRC ロックウエルのCスケール(ダイヤモンド圧子)
単位は HRB ロックウエルのBスケール(鋼球圧子)
1919年にロックウエルが考えた
ダイヤモンド圧子(あっし)または鋼球圧子(あっし)を用いて、最初に基準荷重を加え、次に試験荷重を加え,再び基準荷重にもどしたとき、この前後2回の基準荷重における圧子(あっし)の侵入深さの差から、硬さを求めるものです。
基準荷重は10kgである。
測定する物の硬さにより、多くのスケールがあり、A,D,C,F,B,G,H,E,Kの種類がある
スケールのA,D,Cは球面の半径が0.2mmのダイヤモンド圧子(あっし)を使用する
スケールのF,B,Gは直径1.59mmの鋼球圧子を使用する
スケールのH,E,Kは直径3.17mmの鋼球圧子を使用する

 
(4)ヌープ硬さ試験(JIS B7734 Z 2251)
 

単位は HK(エッチケイ)
アメリカのヌープが考案した
ビッカース硬さとほとんど同じ構造の試験機ですが、圧子(あっし)の形状が違う。
ヌープではビッカスのような上下、左右が同じ形状ではなく、片方の対角が長くなっています。
ビッカースより薄い材料の硬さが測れます。

 
(5)ショアー硬さ試験(JIS B 7727 Z 2246)
 

単位は HS(エッチエス)
1906年にショアが案を考えた。
反発硬さは、一定高さから先端がダイヤモンドの圧子(あっし)部品を被測定物の上に落とし、跳ね返り高さの大小で硬さを測定します。
硬い材料の上に圧子(あっし)を落とすと高くはね上がり、軟らかいとはね上がり高さは低くなります。
試験機を持ち運べるので、大きな部品や圧延ロールなどの硬さ測定に向いています。
欠点としては、材質が変わると跳ね返り高さが同じでも、硬さが違う場合があります。
試料の厚さは5mm以上必要である。

 
(6)ゴムの硬さ試験
 

ジュロメータ硬さ
単位は HS(エッチエス)
ゴムに押し針を侵入させ、その深さから硬さを求めます。
0.025mmの侵入深さを1単位にしています。
硬さ目盛0の時、押し針の侵入深さは2.5mmで
硬さ目盛100の時押し針の侵入深さは0mmです。
押し針の先端はH,N,L,Mと4種類あり、針の先端直径が異なります。
先端直径は、Hで1.0mm、Nは2.5mm、Lは5.0mm、Mは0.395mmです。

 
(7)モース硬さ
 

1882年にモースが考えた引っかき式の硬さ試験です。

1.
  滑石
2.
  岩塩(石膏)
3.
  方解石
4.
  ほたる石
5.
  りん灰石
6.
  長石
7.
  水晶(石英)
8.
  こはく(トパーズ)
9.
  鋼玉(コランダム)
10.
  ダイヤモンド

人間の爪は2.5でナイフの刃は5.5である。ダイヤモンドが最も硬い
各硬さの差は均等ではない。

<6.硬さの換算>
先に説明したとうり硬さ測定はそれぞれ試験方法が違っているので、理論的に換算することは出来ない。
しかし、ある範囲内ではいろいろと換算表が作られている。ただし、違う換算表の値は必ずしも同じ値ではない。
金属によく用いれれる、ビッカース硬度とロックウエルのCスケールの簡単な比較の値を表記する。

ビッカース   ロックウエルCスケール   引っ張り強さ
HV
 
HRC
 
kg/m㎡
260   24.0   82
250   22.2   79
240   20.3   76
230   18.0   73
220   15.7   69
210   13.4   67
200   11.0   63

概略、ビッカースの1/10がロックウエルのCスケールの値とほぼ同じである。
参考に鉄の引っ張り強さも表記している。引っ張り強さの約3倍がビッカース硬さである。

<7.なぜダイヤモンドの硬さが一番硬いのか>
ダイヤモンドが一番硬いと言われています。ダイヤモンドは炭素 だけが結合したものです。
ということは、炭素元素が硬いのでしょうか。元素に硬い元素と軟らかい元素があるのでしょうか。
元素の硬さには差はありません。ただ元素の結合の強さに違いがあるのです。
ダイヤモンドの炭素元素は4つの腕があり、それが正4面体の頂点に向いています。そのすべてがそれぞれ炭素元素と結びつています。
そのために、結合が強く硬くなっている。
鉄とアルミの硬さの差はその金属結晶の差によります。

<8.金属の硬さ(ビッカース硬さ)>
代表的な金属の硬さを表記します。

高炭素鋼の焼き入れしたもの   850 ~ 900HV
  5 ~ 6HV
炭素鋼の焼きなまし   100 ~ 200HV
アルミ   約30HV
  40 ~ 110HV
最も硬いと言われているダイヤモンド   約10000HV

<まとめ>
硬さ測定は、費用も安く手軽に測定できます。鉄の硬さを測定する場合が一番多いと思います。その場合、測定する金属の結晶構造とか焼き入れ加工の有無とかが大事になってきます。それが少し難かしく感じるのだと思います。
硬さ測定の中でも、ビッカース硬さは樹脂から金属までかなり広い範囲まで測定することができます。
とりあえず材料の物理的性質を知りたいときは、気軽に硬さを測定していただきたいと思います。

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