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第24回目

第24回「ボールタック試験(粘着性の試験)」について

◆今回のテーマは、「ボールタック試験(粘着性の試験)」です。

「ボールタック試験(粘着性の試験)」

粘着剤(接着剤の1種で、いつまでも硬くならないでべたべたした物)の粘着性(物に引っ付こうとする性質)を測る方法としては、指で軽く触れてその時のべたつき感で見るのが一番簡単でわかりやすい方法です。
ガムテープやセロハンテープの糊が塗ってある面を手で触られた時の感触です。
この方法には良い点と悪い点があります。

<良い点>
  1. 誰でもできる
  2. 道具がいらない
  3. 感覚的にわかりやすい
  4. 簡単である

<悪い点>

  1. 客観性がない
  2. 他人に説明しにくい
  3. 個人差が出やすい
  4. 再現性が悪い
  5. 数値化できない(定量化できない)

なれてくると粘着性がかなりの程度わかります。
この手での感触は他の測定器で測定しても必ず行われます。

それでは、粘着性を数値で表す方法はどのようなものがあるのでしょうか。
  1. ボールタック試験(傾斜式)
  2. ローリングボールタック試験
  3. プローブタック試験
  4. ループタック試験

などがあります。

<1.ボールタック試験(傾斜式)について>
今回は 1.のボールタック試験(傾斜式)について説明させてもらいます。
これは、JIS Z0237「粘着テープ・粘着シート試験方法」に規定されている方法です。

上の写真のように斜面(通常は30度、エレベーターの角度と同じ)に粘着面を上にしてセットします。
100mmの助走区間をへて、100mmの粘着面に止まるボールの直径の大きさで、粘着性を評価します。

下図で再度説明しますと次のようになります。



JIS Z 0237粘着剤の基本的な試験

ボールの種類は1インチ(25.4mm)の64分の4~64分の64までの31種類あります。
ただし、5/64、7/64、9/64、15/64、17/64は除きます。
当然大きいボールほど勢いよくころがり落ちるので、粘着性が大きくないと止まりません。
粘着面に止まる一番大きなボールの番号(32分の2インチが2番で、32分の4インチが4番というふうになっています)で表します。
少なくとも同じ粘着面で3回行います。
ボールを決めて転がして、粘着面で止まらない場合はそれより小さいボールに変えてもう一度転がします。これを繰り返して粘着面で止まるボールを見つけます。

試験の温度、湿度の標準状態は、23℃、50%です。ただし、粘着剤は温度が低くなると粘着剤が硬くなり粘着性が悪くなります。
そのため、温度を下げて試験を行うことがあります。ボールタック試験機を恒温恒湿機に入れて、その中で測定を行います。0℃以下で試験を行う時もあります。

 

<ボールタック試験の注意点>
ボールタック試験での注意事項としてはつぎのような事を知っている必要があります。
まったく同じ粘着剤(のりと考えてください)でも厚くぬると粘着性が大きくなります。
また、通常は温度が上がるほど粘着性があがります。これは温度によって粘着剤(のり塗と思ってください)が柔らかくなるためです。

それでは粘着性とはなにかについてもう少し詳しく説明させてもらいます。
<粘着性とはなにか>
ねばねばして、べたべたと引っ付く性質です。
納豆のねばねばや水あめやコールタールやとりもちなどです。
これらは水に比べて流れにくく、物によくくっついて、取るのが大変です。ただ、これらを糊の変わりに紙を引っ付けることはしません。なぜかと言うとこれらは紙にはよくつきますが、紙を貼りあわせた時、紙同士を引き剥がすと簡単に引き剥がせます。
粘着剤だけを単独で糊として使うことはほとんどなく、紙とか布(基材と言います)の上に粘着剤を塗って、それをテープやシールのかたちで使うのが普通です。

粘着性が高いと言うことはもう少し物理的にどのように説明されるのでしょうか。
<粘着性の物理的な意味>
ここでヤング率(難かしく言うと弾性率)と言うものが出てきます。ヤング率はそのものに力を加えたときどれだけ変形するか。(厳密にはどれだけ変形しにくいか)を表す数値です。
みなさんご存知のようにゴムひもは引っ張ると長くのびます。つぎに鉄線は強く引っ張ってもほとんど伸びません。これを表す数値がヤング率です。

代表的なヤング率を下に書きます。

鉄21000Kg/mm2
アルミ7000Kg/mm2
ポリエチレン76Kg/mm2
ゴム0.15Kg/mm2

粘着性があるものは、このヤング率が小さいものです。
0.1Kg/mm2(10の7乗dyn/cm2)以下のヤング率でないと粘着性はないと言われています。
では何故このようにヤング率が小さくないと粘着性はでないのでしょうか。

<粘着性のもとはなにか>
粘着性とは、粘着性を示す材料が相手の物に引っ付く性質ですが、引っ付くとはその粘着性を示す分子や原子が相手の分子や原子と十分に近づきお互いの分子や原子同士が引力で引き合う状態を言います。

引力は2つの物質の距離の2乗に反比例するので、2つの物質の距離が近くなると急に大きくなります。逆に言うと距離が近くなければほとんど働かない力です。
2つの物質が近づくためにはどちらかが液体みたいに柔らかくないと近づけないことになります。
これを少し難しく表すと粘着剤のヤング率が小さいことになります。

<粘着性を増やすタッキファイヤー(粘着付与剤)>
これは主にゴム系の粘着剤に使用される、粘着性を高めるために配合されるものです。
この物は液体か固体のものであって、この物自身は粘着性は無いがゴムに混ぜられ事によりゴムのヤング率を下げてゴムの粘着性を高めるものです。
代表的なものには下のようなものがあります。

ロジン系(松脂)
テンペル系
石油系

これらをゴムに混ぜると、ゴムの分子(鎖状に糸みたいに細長いもの)と分子の間に入りこんで分子が引っ張られたとき伸びやすくします。
そのことで、ゴムに粘着性を与えます。

<まとめ>
粘着性を考えて行くと引力までいきついてしまいます。非常に微小な分子や原子の引力によって粘着性が表れるというのは大きな驚きです。

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