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第69回目

第69回「鉄(鋼)の焼き入れ」について

 

(1)<まず、鉄とはなにか>
今回は、鉄(鋼:こう)の焼き入れについて簡単に説明しようと思います。
焼き入れは鉄(鋼)に行われるものです。
鉄を硬くして、鋼の強度を高めます。
鉄に炭素を入れて、いわゆる炭素との合金になっています。
しかし、合金と言いましても炭素の割合は非常に少なくて、せいぜい1%ぐらいです。
この1%の炭素の働きで、鉄から鋼に変わります。

 

(2)<Eそれでは、鋼の種類>
鉄の中でも、炭素の量により、次のように分類されます。

このうち、0.5%以上の炭素が含まれる鋼が、焼き入れして硬くなります。

 

(3)<次に、焼き入れについて>
焼き入れとは、鋼を熱し常温のフェライト組織から高温のオーステナイト組織に変えたのち、急速に冷やして元のフェライトに戻すのではなくマルテンサイトに変えることです。
マルテンサイトとは、炭素を固容したα鉄(注)のことです。
炭素が鉄の組織の間に入り込んで組織が変形して硬くなります。
このマルテンサイトは硬い組織です。
     (注)アルファー(α)鉄(体心立方結晶構造)
     鉄は常温では、体心立方結晶構造を取っています。
     これを温度を上げてゆきますと、700℃以上になるとγ(ガンマー)
     鉄(面心立方結晶構造):オーステナイトになります。
一度温度を上げたものを、急速に冷やすと炭素が鉄に溶けていられなくなり、鉄の結晶間に入り込み鉄の結晶がゆがみます。
そのために鉄が硬くなります。

図のように、炭素が多いほど硬くなります。

 

(4)<次に、オーステナイトとは何か>
鉄の組織の1つである。炭素を比較的多くふくませることができます。
フェライト組織の体心立方構造からオーステナイトの面心立方格子になります。
常温ではこの組織にならないが、ステンレスのように他の金属が入るとこの組織になります。

 

(5)<EN71-3の基準の説明>
硬さがなぜ重要かといいますと、強さに比例するからです。

硬い   →   強度が高い   →   許容応力度が高い

硬さをビッカース硬度(Hv)で表すと、ほぼ許容応力度の3倍になります。
また、ロックウエル(HRC)約の10倍がビッカース(Hv)になります。

 

(6)<鉄の炭素との固溶体>

鉄は炭素を含み合金を作ります。
合金の種類として、固容体、化合物があります。
固溶体には、侵入形と置換形があります。
炭素の場合は原子の大きさがちがうので、侵入形になります。
そのために、鉄の結晶がいがみます。そのために鉄の組織は硬くなります。

 

(7)<ヤング率>
鉄の強さを考えるとき、強さ(引っ張り強さ)ともう一つヤング率を考える必要があります。
ヤング率は材料を細い棒にして、引っ張った時の伸びる量のことです。
たとえとして、直径1mmの棒を考えます。これを天井からぶら下げて下に1kgの荷重をぶら下げるとします。
そうすると、その材料に決まっているヤング率(通常記号:E)に応じて伸びます。
この伸びる度合いをヤング率といいます。
焼き入れして硬くなってもヤング率は変化はしません。

 

(8)<まとめ>
ここで、これまでのまとめをしておきます。
焼き入れの条件としては、次の3点になります。

  1. 炭素の含有が0.5%以上あること
    これは、炭素が鉄の組織に入り込んで、鉄の結晶を変形させるためです
  2. 700℃以上に温度をあげること
    700℃以上にあげて、フェライト組織からオーステナイト組織に変える必要があることです
  3. 急速に冷やすこと
    急速に冷やすことで、鉄の組織の間に入った炭素が析出せずに、マルテンサイト組織になるためです

以上の3点は、必ず必要なことです。したがいまして炭素の含有の少ないSPCCの鉄材では焼き入れはできません。

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