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  <8> KTRニュース

 

 

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第 1回 「LD50(エルディーゴジュウ)」について
第 2回 「ストレスクラック」について
第 3回 促進試験について
第 4回 N(ニュートン)について
第 5回 製品の安全性(有害物質について)
第 6回 分析について
第 7回 「品質工学」(タグチメソッド)について 1
第 8回 「品質工学」(タグチメソッド)について 2
第 9回 「品質工学」(タグチメソッド)について 3
第10回 VOC(揮発性有機溶剤)シックハウス症候群について
第11回 RoHS(ローズ)について
第12回 安全係数について
第13回 環境マネージメントシステムについて
第14回 アクリルについて
第15回 PBB(ピービービー),PBDE(ピービーディーイー)について
第16回 「可塑剤(かそざい)」について
第17回 「水と油はなぜ混ざらないのか」
第18回 化審法(かしんほう)について
第19回 湿度(しつど)について
第20回 「HACCP(ハサップ)」食品の安全性確保
第21回 「プラスチックの見分け方(赤外分析)」について
第22回 「REACH(リーチ)規制(新化学物質規制)」について
第23回 「積層造形(ラピッドプロトタイピング)」について
第24回 「ボールタック試験(粘着性の試験)」について
 第7回

★今回のテーマは少し固い内容で、「品質工学」について簡単にご紹介させてもらいます。

品質工学(タグチメソッド) 1

品質工学と言う言葉を初めて聞かれた方も多いと思います。
私は5,6年前に品質管理関係の本を読んでいて初めて知りました。
商品の試験関係の事で色々と調べている内にこの言葉に出会いました。

品質工学は広い意味では品質管理の中に入りますが、今までの通常の品質管理では出てきません。
今までの品質管理との関係はどのようになるかと言いますと次のような関係になります。


◇<品質管理と品質工学との関係>
1) 品質管理  →  流失対策(品質の悪い物を出さない)

2) 品質工学  →  源流対策(品質の悪い物を設計しない)

以上が品質管理と品質工学との違いです。

それでは、品質工学についてもう少し詳しく説明します。


◇<品質工学のねらい>
品質工学では、次の3つの課題を解決しようとします。
   低コスト化   … ばらつきを小さくする
   クレーム問題  … 安定性の確保
   開発速度   … 頑健性(がんけんせい):ロバストネス
以上の考え方で、これらの要素を同時に解決することを目指しています。

◇<品質工学利用の成功例の1つ>
1) 伊奈製陶(INAX)のタイルの製造
 タイルの製造は材料を配合して、型に入れた後、トンネル釜で焼き固めて作るが、焼いた後の製品の寸法、ツヤ、反りなどに問題点があった。これを解決するのに、釜の中の温度分布を変えずに、 材料の成分を変える事で解決した。この時に品質工学を活用して、短時間で問題解決にこぎつけた。

◇<品質工学の成り立ち>
品質工学は日本で始まった考え方です。そして、アメリカにこの手法が渡りアメリカで非常な成果をあげて、日本に逆輸入されました。最近は日本でも盛んに活用される様になりました。
アメリカでは、自動車工業で利用され、大きな成果をだしました。
また、コンピューター関係、家電関係でも盛んに使われてます。

この考え方を考えたのは、元青山学院大学教授の田口玄一(たぐち げんいち)と言う方です。(アメリカではタグチメソッドと言われます)
1997年に、アメリカの自動車殿堂入りをされました。アメリカの方が有名な方です。アメリカの自動車殿堂入りし日本人は本田宗一郎、豊田英二と田口玄一の3人です。


◇<品質工学の考えかた>
1) 品質工学では、品質を「損失」と定義しています。詳しく説明すると、「品質とは、品物が出荷後社会に与える損失である。ただし機能による損失を除く」と定義しています。
ただし、損失が少ない方が良いと考えています。
これは画期的な考えかたです。
損失なので、金額であらわされ、定量的にとらえられます。
いままででは、品質は定性的で抽象的なのでなかなか客観的にとらえられなかったので、その点が非常に優れています。

2) 品質工学のアプローチ方法
 商品、技術をシステムとしてとらえる(パラメーター設計)
     入力と出力の関係を調べる。

使う手法としては、以下のものが中心です。
(1)損失関数
(2)SN比による評価(エスエヌひ)
(3)直交表の利用(ちょくこうひょう)

これらの詳しい説明は、少し難しくなるので今回は省かせてもらいます。
具体的な例で説明させていただきたいと思っています。


以上、品質工学の概略について説明させてもらいました。
品質工学はうまく使えば商品の開発に非常に有効だと感じられたと思います。

最後に、本に載っていた文章を紹介いたします。
ある複写機の技術者は「紙を送る技術は以外に難しいが、品質工学を活用して温度や湿度に強いシステムに成功した。これらの技術は中国では真似が出来ないので参入は難しい」と胸を張っていた。

KTRでは、まだ品質工学を理解して使いこなせるところまでは行っておりませんが、もう少し学習して活用して行きたいと考えています。
品質工学をうまく活用して、皆様方のお役に立たちたいと考えています。



 第8回

★前回は概要でしたが、今回は少し内容に入ってみたいと思います。

品質工学(タグチメソッド) 2

品質工学につきまして、前回の続きを書かせてもらいます。
前回、品質工学の特徴としまして、3つあげました。
 (1)直交表の利用
 (2)SN比(エスエヌヒ)による品質の評価を行う
 (3)損失関数を使用する

今回はこれらを、具体的(例題の説明)に説明させてもらいます。
<例題 ゴルフロボットの性能評価>
私が少しゴルフが好きなので、例題に取り上げてみました。
ゴルフをしない方もテレビで見られた事があると思いますが、ロボット(機械)がゴルフボールをゴルフクラブで綺麗に打っているのを見たことがおありだと思います。非常にうまく打っています。

そこで、仮にこのゴルフロボットを作っている会社がこのロボットの改良を 目指して性能を評価し、どのように優れたロボットを作るかを考えてみます。このロボットの品質項目はいろいろ考えられますが、ロボットがボールを打って、目標(ピン:旗)の近くにボールが落ちるのが一番重要だと考えます。
そこで、品質工学(タグチメソッド)を使ってロボットの機構や条件を変えて、試験を行い評価してみます。(条件を変えることをパラメータを変えるといいます。)


(ステップ1)
このロボットの設計条件を選びます。今回はとりあえず、7つの条件(制御因子)を考えました。(これはあくまで例題です。実際の条件ではありません)
1. ボールを置く台の高さ (低い、高い) 2条件
2. ボールを置く台の材質 (軟らかい、普通、硬い) 3条件
3. ボールを打つクラブヘッドの種類 (軟らかめ、普通、硬め) 3条件
4. ロボットのクラブを振るスピード (遅い、普通、速い) 3条件
5. ボールに当てるクラブの角度 (上向き、横向き、下向き) 3条件
6. クラブを固定するグリップ硬さ (軟らかい、普通、硬い) 3条件
7. クラブを振る回転パターン (長円、真円、短円) 3条件
8. 誤差:風向き (向かい風、無風、追い風) 3条件

(ステップ2)
これらの組合せをすべてテストするとすれば、
2×3×3×3×3×3×3×3=4374回テストを行なわなければなりません。
実際、これだけの数のテストを行うのは、不可能です。
そこで、テストを効率的でなおかつそれらの制御因子の影響をSN比で評価できるようにするために、直交表を使います。
代表的な直交表として、L18を使用します。(L18とは、テスト回数が18回と言う意味です)
直交表
この直交表を使うと、4374回のテストが18回で済みます。
タテ方向が列で、ヨコ方向が行です。横方向がそれぞれのテストの時の条件の組合せです。
直交表とは、どの2列(タテ方向)を取っても、各条件の水準の組合せの数が同じになるようにした表です。

(ステップ3)
テストの実施(18通りのテストを行う)
今回、ロボットの条件を変えた18回のテストで、何ヤード飛んだかを調べます。とりあえず、適当にそれぞれのテストでの飛距離を入れています。
実際には18回テストを行い、飛距離の結果を計測します。

(ステップ4)
各テストごとのSN比の計算(ここから解析に入ります)
η´(イータ):真値=(飛距離)2乗/(平均-飛距離)2乗
S/N比=η(イータ)=10LOG(η´)
これを、表の各実験番号の行の最後に記入します。
このS/N比が大きいほどロボットの安定性(ロバストネス)が高いと言えます。
S/N比が高いと言うことは、ボールの飛距離のばらつきが少ないと言う事です。
この結果より、どの条件の組合せが最も良いかを判断いたします。

(ステップ5)損失関数の利用
損失関数を使って、損失の計算を行います。今回の最適条件(ばらつきが最も少ない組合せ)と今までの条件とのばらつきを比較して、金額計算を行います。
品質工学では、ばらつきの2乗に比例して損失が出ると仮定しています。
(この場の損失金額は、メーカーのクレーム等の損失だけではなく、これを使用するユーザーの損失も合わせて考えています)
この場合の金額計算は、今までのクレーム頻度や、ボールの飛距離のばらつきによるユーザーの損失感により違います。
今回は、具体的なデーターが分からないため、省かせてもらいます。

以上が最も簡単な品質工学(タグチメソッド)の流れです。

この様に、今までのテストの様に、ある1つの条件だけを変えて他の条件を固定して比較するのではなく、いろんな条件の組合せでテストを行い最適条件を選ぶのが、品質工学の特徴であり、長所です。
この事により、テスト機での実験結果から、実際のユーザーの使用時における製品の品質がずれなく評価できるわけです。

品質工学(タグチメッソド)の非常に簡単な例を説明させてもらいました。
私の理解不足から、正確性に欠けるところがあると思いますが、ご容赦お願いいたします。

最後に今回の「品質工学」タグチメソッド 2 を書くにあたっての参考文献を記載 いたします。

<参考文献>
1. やさしい「タグチメソッド」の考え方 矢野 宏 日刊工業新聞社
2. おはなし品質工学 矢野 宏 日本規格協会
3. 入門タグチメソッド 立林 和夫 日科技連
4. タグチメソッドわが発想法 田口 玄一   経済界
5. JIS K7109 プラスチックの寸法許容差の決め方
6. JIS Z8403 製品の品質特性ー規格値の決め方通則

 

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